どんな小売店でも自社アプリ開発の意味はあるの?アプリ活用が向いていない、向いているを判断する材料とは
近年、小売店でのアプリ導入事例が増えています。
- アプリ導入によりリピーターを確保しやすくなる
- スマートフォンユーザーとアプリの相性がよい
といった要因がありますが、小売業界にもさまざまな性質がありケースによってアプリでの販促が合う、合わないがあります。自店舗がアプリマーケティングと相性がよいか確認しながら施策を打っていきましょう。
今回は自社アプリ導入を検討している小売店舗の経営者向けに、アプリと小売店の相性を、活用事例を挟みながら解説します。
向き不向きや相性を考えよう!どんな小売店でも自社アプリを開発したほうがよいのか
小売店だからすぐアプリを開発しようというのはあまりよくありません。
小売店の性質によって、自社アプリを開発したほうがよい、あるいは他の方法から試したほうがよいというのは変わってくるからです。
基本的にどんな業種でもアプリマーケティングはマッチングしますが、場合によっては失敗するかもしれないことを念頭に入れながら、本当にアプリ導入が最善のマーケティング施策なのかを見極めることが重要です。
自社アプリが向いている小売店の特徴
以下のような特徴がある小売店は、アプリ導入に向いています。
スマートフォンユーザーが多い
若年層のユーザーは、スマートフォンを利用する傾向にあります。
すでに固定電話を切ってスマートフォンだけを利用している方も多く、そういった方にとってはアプリは重要な情報ツールです。
そしてスマートフォンユーザーが多いとデータでわかっている小売店舗にとっても、アプリ活用は魅力的です。プッシュ通知やクーポン配布などをアプリから一括で行うことで従来より統一したマーケティングができますし、ユーザーが情報に触れる際の負担も小さくなるでしょう。
EC事業も主軸になっている
EC事業が主軸になっている、あるいはなりつつある店舗にとってもアプリは重要です。
WebサイトよりもスマートフォンでのEC購入体験(Mコマース)を増やせるからです。
たとえばあるアパレル企業で、ECを含めた機能をアプリへ一括搭載したことで成功している活用事例が存在します。オムニチャネルを意識しながらコーディネートや口コミ情報などを商品へ反映させて、すぐ確認できるようにすることで信頼性を高めることに成功しました。
またECに限定せず、
- 各タイミングでのクーポン発行
- デジタルチラシ活用によるコスト削減
- AI活用によるコーディネート、おすすめの自動提案
といった機能も活用し、総合的に稼げるビジネスモデルを作っています。このようにEC事業を主軸としてさまざまな施策を成功させたい方にとってもアプリは向いています。
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アプリを使わないと目的達成が難しい
アプリを使わないと目的達成が難しい、
- スマートフォンユーザーに最適解としてマーケティングツールを用意したい
- プッシュ通知といったアプリならではの機能をフル活用したい
- リピーターと複数のタイミングで、リアルタイムに接点を持ちたい
といった目的がある小売店舗もアプリ導入に向いています。
スマートフォンユーザーにとってはわざわざアクセスするのが面倒なWebサイトといったツールよりも、すぐタップして起動できるアプリが最適解のツールとなりやすいです。
また、プッシュ通知といった機能もアプリならではであり、「プッシュ通知でお得な情報を送ってタイミングを失わないようにしたい」といった店舗は導入したほうがよいでしょう。
さらにリピーターと最適なタイミングですぐタッチポイントを持つには、リアルタイムで情報送信や更新などができるアプリ活用が望ましいです。
DX化を実現したいと思っている
アプリの活用事例として、たとえばプリペイドカードをアプリ化して集客へつなげた店舗があります。プリペイドカードのアプリ化はコーヒーチェーンなどで多く活用事例が存在しており、入金の手間削減や履歴管理などへ役立てられています。
また、社内で使うことを前提としたアプリを開発して、レポート共有などの効率化へつなげた企業も。あるスポーツチェーン店はレポート作成の時間に課題を感じ、社内レポートアプリを導入したことで月30時間ほど報告・共有の時間を削減したという事例もあります。
このようにアプリによってDX化を実現したいと感じる方にとっては、活用方法を考えた上で開発を行う、あるいは依頼するのが重要です。
自社アプリが不向きな小売店の特徴
以下のような特徴がある小売店は、アプリ導入に向いていません。
高齢層にユーザーが多い
アプリはスマートフォンユーザーありきの施策になります。まだガラケーを使っている、そもそもあまり携帯デバイスを持ち歩かないといった方への販促方法として用意しても上手く機能しない可能性があるでしょう。
高齢層のユーザーが多いとアプリを制作しても失敗に終わる可能性が高いです。
高齢層は最新のデジタル技術を使いこなせる人が少なく、またガラケーの利用割合も他の年齢層より多い傾向にあります。結果的にアプリを通してタッチポイントを持つのは困難です。
将来的には今の若年層がさらに上の層になり、またガラケーを使うために必要な3Gも停波するのでアプリ利用者は増えるでしょう。
しかし、今すぐにアプリ施策を打つ場合は、高齢層が多い小売形態だとスマートフォンの利用周知からしないといけない可能性が高いです。
EC事業を実施していない
オムニチャネル実現には、在庫をオフラインと共有しながらオンラインで接客ができるECサービスを用意しておく必要があります。
しかし、EC事業を実施できていない店舗では、ECとアプリのシナジーを感じることができないので効果が低くなってしまいます。
コロナ禍でECに手を出す事業者は増加していますが、諸事情でまだECができていない、あるいは撤退したので使えない事業所も存在するでしょう。そういった店舗ではECを軌道に乗せてからアプリ導入でのシナジー効果を計測したほうがよりよい効果へ結実する可能性が高いです。
アプリ以外の方法でも十分目的達成ができる
自社開発や他社委託などの方法によっても、アプリ開発で発生する時間・費用は変わってきます。
しかしどんなアプリ開発でも、他のデジタルツールより準備に時間が掛かる、またコストが発生しやすいのは頭に入れておきましょう。
アプリ開発は安価でも行えますが、スキルがないと開発の初歩にも手が出せません。また委託割合が増えると、数百万といったコストが開発で掛かる可能性もあります。
例えば、SNSマーケティングは無料で気軽にでき、運用に関しても少ないクリエイティブコストで投稿を行うことができます。
またWebサイトも低コストで運用できますし、さまざまな機能を搭載してECまで実現することもできるでしょう。
このようにアプリがマーケティングの最適解とは限りません。それを理解した上で、アプリではないと目的達成ができないという事業者はぜひ導入を検討してみてください。
接点増加などに効果あり!小売店で自社アプリを開発するメリットとは
小売店が自社アプリを開発すると、次のようなメリットが得られます。
スマートフォンユーザーとの接点を増やせる
AndroidやiPhoneといったスマートフォンユーザーは、アプリの利用割合や時間が多いです。
そもそもスマートフォンを使う目的の1つはアプリの利用にあるので、ターゲットユーザーがアクティブに使いたくなるアプリを制作できれば、導入前よりも圧倒的なタッチポイントを確保できます。
アプリは待ちの姿勢でマーケティングできるだけでなく、プッシュ通知機能を使って積極的にマーケティングできるのもメリットです。バランスよく「待ちのマーケティング」と「攻めのマーケティング」を組み合わせることで、新規顧客獲得やリピーター増加などへつなげられるでしょう。
実行できる施策が多い
アプリでできることは
- 新情報の拡散
- クーポンの配布
- プッシュ通知での必要な情報送信
- ツールの連携(WEBチラシなど)
- コラムなど読み物の用意
- ポイントカード連携
- EC連携
などさまざまです。目的が決まっていれば、それに合った機能を搭載することで自由なマーケティングが実現します。
さらにSNSやWebサイトといった他コンテンツとの併用、連携も可能なので、計画がしっかり立てられれば相乗効果でさらに売上成長などへつなげられるでしょう。
リピーター化を促進しやすい
アプリのタッチポイントの多さは、リピーターの確保へ貢献します。
- 初来店時
- 連続来店時
- 来店からしばらく間が開いたとき
といったタイミングにアプリ機能を使うことで、来店数の増加や休眠顧客の復活などへつなげられるのがポイントです。
たとえば初来店時は、次も来てもらえるようにお得度の高い特典をクーポンで配布。また、連続来店時は指定商品購入でノベルティプレゼント、休眠顧客になっているときは新商品のお試しをプッシュ通知で配信・クーポン配布することなど、適切な対応が取れるでしょう。
実際にアプリで通知を送りながら適切な配信数、配信タイミングをつかめるとより成功確率が上がります。
業務負担をアプリで分散できる
アナログな方法で店舗マーケティングをしていると、
- 印刷に時間が掛かる
- チラシ配りなどに人員が掛かる
- 業務フローが多くて少ない人手で回しにくい
といったデメリットが出てきます。
アプリを使うことで、
- チラシデータをそのままアプリで配信して印刷コスト・時間を削減
- チラシ配りなどの業務をアプリへ統合することでなくす
- モバイルオーダーなどをアプリへ搭載することで本来の業務へ集中できるようにする
といった効果によって、業務担当者の人員少数化や業務の効率化、コスト削減などにつながります。
将来的なDX化にもつながる
小売店舗のアプリ導入は、将来的なDXにも貢献します。
厳密には、単にアプリを導入して利用するだけではDXを達成しているとは言えません。
しかし、アプリを起点にビジネスモデルが回るようにしながら業務負担を削減、他のデジタルツールと組み合わせて組織の古い風土や体制を再構築して新しくすれば、DX化が達成できます。
DX化の第一歩としてアプリを導入して、将来的な改革へとつなげられるように工夫してみてください。
DX化における節目は、2025年です。
経済産業省が専門の研究会を作り、その取組の中で「2025年までにDX化が成功しないと、年間で最大12兆円の損害が日本国内で発生する」という「2025年の壁」を発表しました。最低でも2025年までに改革が終わるように持っていければよいでしょう。
目的は明確か、自社アプリの開発する前に押さえておくべきポイント
自社アプリを開発する際は、次の点を考えながら制作するとマーケティングが成功する確率が上がります。
アプリ開発の目的を明確にする
業種にかかわらず、アプリ開発の目的が明確になっているかは重要です。アプリ開発の目的は芯となる部分であり、そこがぶれているとどんなアプリ開発も失敗してしまうでしょう。
目的が明確になっていることで、
- 目的ありきでアプリ機能やデザインを開発できる(アプリ制作=目的になるのを防げる)
- アプリコンセプトがずれずにターゲットユーザーに伝わる
- 制作フローを進める際に無駄な時間を削減できる
といったメリットが得られます。
自社で開発するにしろ外部に全開発を委託するにしろ、目的の明確化は必ず行う必要があります。単に「DXにアプリが必要そうだから」といったあいまいな理由で開発に着手しないように気を付けてください。DXが失敗するのは、アプリ利用の目的や利用後の展望が描けていないからです。
たとえばある大手食材宅配企業は、自社アプリの利活用に3回も失敗しました。ダウンロード件数増加後の展望を描けなかったのが原因で、今はLINEといったSNS活用へかじを切っています。
アプリ運用の社内体制を整えておく
アプリ運用の社内体制も事前に確認してスケジュール化しておく必要があります。アプリは開発してリリースしたら終わり、ではありません。
アプリ運用において必要な人材は、たとえば
- アプリのデザイン担当者
- マーケティング立案担当者
- フィードバックを基にした改善実行者
- すべてをまとめるディレクター
などです。
兼任するケースもあるでしょうが、マーケティングが回るように1人に負担が集中しない体制構築が重要です。担当ごとの業務内容や量などを考えながら、適切な人員配置を行えるかが重要になってきます。
将来的な離職や採用、配置転換まで考えて担当を配置しておくと良いです。同じ人員がいつまでも同じ業務に対応するとは限りません。
アプリ開発会社を比較検討する
アプリ開発会社と契約する場合、よく比較検討することも重要です。比較検討の際は
- コストが適切か
- 希望通りの開発を行ってくれるか
- 自社業種での開発実績があるか
- 担当者の対応がしっかりしているか
といった点を確認してみてください。
コストが適切かについて確認する際は、相場をある程度理解するとともに相見積もりを行うと良いです。
気になる開発会社を複数選んだあと、一括で見積もりができると負担が減って良いですよね。マッチングサイトなどを使うと1クリックで相見積もりが可能です。
また、希望通りに開発を行ってくれるかもポイントです。開発スキルやノウハウは会社によって違うので、要望通りに、そしてこちらの要求を理解した上でさらに上の要件定義を提案してくれるところを選びましょう。
同じ業種での開発実績が豊富であれば、成功事例を確認できることに加え、開発効率的にも有利なので安心して業務を任せられます。自社業種での実績が少ないとコスト面でも無駄にお金が掛かるかもしれないので注意してみてください。
担当者の対応スキルは、メールや問い合わせフォームでの連絡時の返答や、対面での話し合いなどで計測できます。もしこちらの質問に明確な答えが出せないなどのトラブルがあった場合は、他の会社を検討したほうが良いでしょう。
まとめ
今回はアプリ活用が向いている小売店舗の特徴などを解説しました。
アプリ活用によって、小売店舗ではコスト削減や施策効率化などの効果が得られます。ただし、店舗の性質によってアプリで得られる効果が変わってくるので、事前に確認してからアプリ活用が最適解なのかを考えましょう。
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