デジタル販促にアプリは必要不可欠なのか?アプリがもたらす相乗効果とは
デジタル販促を行い、上手くコストを管理しながら効率よくタッチポイントを作る方法が当たり前の時代となりました。アナログ販促と違いコストを削減しやすく、ピンポイントに販促できるデジタル販促を活用するには、各ツールの違い・メリット・デメリットなどを比較する必要があります。
特に店舗経営においてはアプリがデジタル販促に使われやすいですが、アプリの利用に向いていない事例もあるので注意しましょう。
今回はデジタル販促にアプリは必要なのか、また他ツールとアプリの相乗効果についてもご紹介します。
デジタル販促とは?
デジタル販促とは、「デジタルツールを使って行う販促活動の総称」です。
現在デジタルツールとしては、
- Web広告
- SNS
- Webサイト
などがあり、「アプリ」もデジタルツールとなります。各デジタルツールはテレビやチラシといった既存のアナログツールに取って代わるものとして各企業・店舗で普通に取り入れられるようになりました。
こういったデジタルツールを使って販促をする場合は、デジタル販促の特徴を上手くとらえながら効率よく施策へ取り入れることが重要です。
デジタル販促にアプリは必要不可欠なのか?
デジタル販促全般で考えると、あくまでアプリは活用できるツールの1つでしかありません。そのため実際に導入を検討する際はWeb広告やWebサイト、SNSといったツールと比較してどれを取り入れればよいか店舗内で検討してみてください。
ただし実店舗集客の範疇で考える場合は、必須とまではいきませんがアプリ活用の重要性が増してきます。
スマートフォンの所持率やDXの需要増加といった社会的背景から考えても、アプリ活用を実店舗内で考えておいたほうがよいです。
店舗のデジタル販促においてアプリが重要な理由とは
実店舗のデジタル販促にアプリ活用が重要なのは、次のような要因があるからです。
顧客の囲い込み・リピーター化ができる
アプリは一度インストールしてもらえれば、アイコンとしてスマートフォン内に常駐できます。またアンインストールされない限り、プッシュ通知を送って重要な情報を確実に伝えるといったことが可能です。クーポン配布といった施策を定期的に好きなタイミングで行えるのもメリットとなっています。
アナログツールだと、重要な情報を確実に伝えたりクーポンを作ってすぐに配布したりといったことはできません。
アプリの場合インストールされればスピーディーにタッチポイントを作れるので、顧客の囲い込みやリピーター化をしやすいです。
これはWebサイトといった他ツールでは実現できないでしょう。
販促コストを抑えることができる
アプリを制作して実店舗の集客へ利用すると、集客したお客様を継続的に来店へつなげる経路を作ることが可能です。またオムニチャネルによってEC機能をアプリへ統合させて、オンラインでもロイヤリティが上がるように工夫することもできます。
こうした施策を行うことで、販促コストは大幅に抑えられます。
コストが抑えられるのは、リピーター増加の重要性が関係しているからです。
一般的なマーケティングの法則では「2割のリピーターが全体の8割の利益を発生させ、また新規顧客獲得に掛かるコストはリピーター確保に掛かるコストの5倍」とされています。
つまりリピーターは店舗にとって利益を獲得しやすく、販促コストも抑えられるため、「重点的に増やしたい存在」です。
根本的に新規顧客数が確保できていないとアプリの効果は限定的になりますが、一定数新規顧客が増加した上でそこからリピーター増加を狙う場合はアプリが最適なツールだといえるでしょう。
もし販促コストが増えている場合は、リピーター増加関連の施策に力を入れてないからかもしれません。ぜひアプリを導入してリピーター施策を強化してみましょう。
他ツールとの連携が可能
アプリ単独で実施できる施策には限界がありますが、他のデジタルツールと連携をさせることでポテンシャルは更に引き上がります。店舗の人員に余裕がある場合は、他ツールと連携をしながらアプリを運用するのがおすすめです。
そしてすでにデジタルコンテンツを保有・運用している場合、アプリはそのハブとしての役割を果たします。
具体的には、
- ECサイト
- SNS
- Youtube
といった各メディアに情報を発信している場合、アプリ内にすべてのリンクを貼り情報を紹介、誘導することができます。また逆に各デジタルコンテンツから、アプリインストールへの誘導経路を用意することも可能です。
さらに予約システムやPOSシステムといったシステムをすでに導入している場合も、APIといった技術で一部機能を引き出してアプリで利用できます。会員証バーコードをアプリへ表示させて取得情報をPOSでデータベース化する、といった施策も取れるようになるので便利です。
スマートフォンの将来的な所持率増加に対応できる
スマートフォンの所持率増加は、すでにデータにも顕著に表れています。
総務省の「情報通信白書」では、モバイル端末全体の保有割合は97.3%、そのうちスマートフォンの所持率は88.6%を占めました。
これは固定電話の66.5%よりも高い数値となっており、固定電話ではなくスマートフォンを通信機器の代わりとして保有するケースが増えているのもうかがえます。
また3Gの停波によって、このスマートフォンの所持率はさらに上がっていく可能性が高いです。
すでに2022年3月にはauが3Gを提供終了しており、ソフトバンクが2024年1月、ドコモが2026年3月と続く予定です。2026年3月には、3Gしか使えないガラケーを含む機種が一切使えなくなります。
4G対応のガラケー等もありますが、保有する方はほとんどいません。そのため今後は年齢といった属性にかかわらず、スマートフォンを保有して店舗へもっていく層が明らかに増えていくでしょう。今のうちからアプリを導入してノウハウを蓄積しておくと役立つかもしれません。
DX化のきっかけを作ることができる
アプリを使うことで、まず施策がアプリベースで動くようになります。プッシュ通知での情報発信やデジタルチラシの活用、デジタルポイント・スタンプカード提示機能の提供などで既存のコンテンツがデジタル化して施策のスピードも上げられます。またユーザビリティを確保することでアプリ自体の利用率向上にもつなげられるでしょう。
アプリの利用メリットはそれだけではありません。ダッシュボード分析機能などを活用することで、自然とデータを見てから施策を考える癖が付くようになります。将来的には、経営判断までアプリの分析機能等で決定できるようにすれば、組織自体が自然とデジタル基盤で動くようになります。
単にアプリを施策に取り入れるだけでなく、それをきっかけとして組織改革を行えるように工夫することでDX化を達成できるようになるということです。
DX化を行わないと、2025年には日本全体で最大12兆円の損失が出ると言われています。こういった損失の事態を回避して店舗が成長していくためにも、ぜひDXをアプリで実現してみてください。
アプリがデジタル販促に不向きなケースとは?
実店舗でアプリを活用するとさまざまなメリットがありますが、同時に次のようなケースではデジタル販促に活用しきれないリスクがあります。
高齢層のユーザーが多い
アプリはスマートフォンを毎日のように使っているユーザー向けの販促ツールのため、
- そもそもスマートフォンをあまり触らない
- ガラケーしか持っていない
といった層には届きにくいのが弱点です。こういった特徴に該当するのは、現在の高齢層です。
高齢層はPC等を使う需要はあっても、スマートフォンを毎日のように触って操作できる方は多くありません。今でも高齢者向けのスマートフォン初心者講座が開催されて、携帯電話会社の集客に利用されているくらいです。そもそもガラケーしか持っておらず、スマートフォン自体を触っていない方もいます。
自店舗において高齢層の利用が多い場合は、アプリ活用でメリットが得られるのかをよく検討した方がよいでしょう。
ただし先ほども説明したように、スマートフォンの利用者数は増加します。2026年までにはかなりの高齢者がスマートフォン利用に慣れ始める、あるいはスマートフォン自体の利用を始めるはずなので、事前にアプリを運用してノウハウを蓄積しておくのも手です。
費用対効果が見合わない
アプリプラットフォームを使えば、アプリ制作コストを削減できます。中小規模の店舗もアプリプラットフォームを使い、アプリを続々と制作して運用する時代となりました。ただし運用しやすくなっても、費用対効果が必ず見込めるわけではありません。
- そもそも店舗規模がかなり小さい
- 自社の施策にアプリの活用が合っていない
といったケースでは、費用対効果が合わずアプリ制作にかけたコストが無駄になるケースがあります。
またアプリ運用時には分析や課題洗い出し、そして施策立案を繰り返し行う必要があるので、場当たり的に施策を実行するだけではアプリの費用対効果が見込めなくなってしまう点にも気を付けましょう。
新規顧客の獲得
店舗アプリは、主にリピーター創出を目的として制作するものです。自店舗のブランドを何かのきっかけで知ってもらい、そこから誘導してアプリをインストールしてもらう必要があります。
そのため、新規顧客をいきなり獲得するのには向いていません。
もし新規顧客の獲得段階で課題がある場合は、SNSやWebサイトでの情報発信といったアプリ制作よりコストが掛からない方法で獲得数を増やす方向性を検討した方がよいでしょう。そしてある程度の獲得ができたらアプリのほうへSNS・Webサイト経由で誘導を行い、リピーターを増やせるようにしたほうがよいです。
アプリを導入する場合は、すでにある程度の来店数が確保できておりリピーター化できる見込み数が多い状態で運用を始めたほうが有利であることを覚えておきましょう。これから店舗を経営開始してブランドを作っていく際は、いきなりアプリのみを導入してデジタル販促へ使うのはよい選択肢とは言えません。
アプリがもたらす相乗効果と事例をご紹介
最初の集客段階においては、アプリ以外のツールが有効なケースが多いです。
アプリとそれ以外のツールを活用しながら集客すると、相乗効果でさらに高い集客効果が見込めます。
ここからは事例といっしょに、アプリがもたらす他ツールとの相乗効果について解説します。
オフライン×アプリ
アプリはオフラインとオンラインをつなぐ手段としても有効です。来店時にアプリのインストールをお客様に促す事例を想定します。
お客様はインストール時に初回限定クーポンをもらい、また来店してくれました。そしてこのアプリにはEC機能も付いているため、お客様はECでも商品を購入してくれるようになります。そして店舗で受け取れば送料が無料になることもあり、EC注文の際も店舗へ来店するようになりさらに来店頻度が増しました。
こういったように上手く施策が運ぶとは限りませんが、アプリインストールをきっかけにさまざまな来店のフックが増えたり、ECの利用も増加させたりすることが可能です。
オンライン・オフラインをまたいでもスムーズな購買体験が提供できるようになれば、お客様のロイヤリティ向上が狙えます。
Webサイト×アプリ
アプリにはWebサイトのビュー機能を搭載することが可能です。Webサイトと役割を分担しながら活用することで、集客上でも相乗効果が発揮されます。
Webサイトでキーワード経由の集客を確保する事例を想定してみましょう。
次回以降の自店舗サービス利用に関してはアプリのインストールを促します。Webサイトをリピーターが何度も訪問して使うコンテンツにしようとするのは難しいためです。アプリへ誘導してスムーズに情報を確認できるようにしたほうが、集客では有利になります。
Webサイトだけだとリピーターを取りこぼすリスクがありますが、アプリで次回以降のフォローを継続することで確実にリピーターを増やすことができるでしょう。
アプリプラットフォームによっては、Webサイト・PWAを同時に制作・運用できる機能が搭載されているサービスもあります。まだ、自店舗のWebサイト・アプリがどちらもない場合は、併用機能があるアプリプラットフォームを選択するとよいでしょう。
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アプリとWEBサイトが両方必要な理由とは?
SNS×アプリ
SNSはよくWebサイトとの併用による相乗効果が解説されていますが、アプリとの相性もとてもよいです。
たとえばSNSで毎日のように情報発信していたとします。この場合自社アカウントのフォロワーやその関係者に投稿が発信されますが、いちいち確認するのが面倒という方もいるはずです。
そこでアプリに他の機能も含めてSNS情報発信機能を統合することで、アプリからすぐにSNSの最新情報をチェックできる体制が構築できます。
SNSでの情報発信はアプリインストールしているユーザー以外にも届くので、ファンを増やしながら、継続的にアプリの利用者数を増やす手段としてSNSで関連情報を発信する手段も取ることが可能です。
SNS投稿のチェックをきっかけに、単なるファンからリピーターへとステップアップされる方もでてくるでしょう。
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店舗のSNS活用!第2ステップは「アプリ」との併用
アプリを導入するなら「店舗アプリDX版 raiten」
もし自店舗にアプリを導入して集客する場合は、弊社が提供するサービス「店舗アプリDX版 raiten」がおすすめです。
店舗アプリDX版 raitenではプッシュ通知やクーポン配布といった各機能を、短時間で搭載してアプリをリリースできます。すでに既存のコンテンツ・システムがある場合もリンクやAPIなどで簡単に呼び出して活用可能です。
他ツールとの連携による相乗効果を得たい方は、まず弊社が課題等をヒアリングさせていただきますのでぜひご連絡をくださいませ。
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まとめ
今回はデジタル販促におけるアプリの必要性や、他ツールとの相乗効果などを解説しました。
アプリはリピーター集客へ特化したツールですが、その他の段階にあるお客様をフォローするにはSNSやWebサイトなどの力が必要です。アプリと各ツールをリンク等で連携させながら併用することで、相乗効果をも見込めます。
ぜひアプリ以外もツール運用できる体制を、自店舗で構築してみてください。