アプリプラットフォームとアプリ開発のメリット・デメリット
スマホが顧客への重要なタッチポイントとして機能している現代では、スマホに常駐できるアプリを活用した店舗マーケティングが有効になっています。現在アプリを開発するには
・アプリプラットフォームを活用する
・アプリ開発を1から行う(スクラッチ開発する)
という2種類の方法があり、アプリプラットフォームの普及は中小規模企業のアプリマーケティング事例の増加に大きな貢献をしています。
アプリを開発する際は社内リソースや予算などを考えて、どちらの方法で開発を行うか決定する必要があるのがポイントです。
今回はアプリ開発を検討している方向けにアプリプラットフォームとアプリ開発、双方のメリットとデメリットを分かりやすくご紹介していきます。
アプリプラットフォームのメリット・デメリット
アプリプラットフォームは、企業側が提供した環境でアプリを開発していくサービスです。Webサイトで言うと「WordPress」といったCMSのように、直感的にアプリを構築していけるのが特徴となっています。
【アプリプラットフォームのメリット】
アプリプラットフォームのメリットは次の通りです。
開発コストが安く済む
スクラッチ開発の場合、プログラミングやサーバーなどに関して一定の技術水準のあるリソースを用意する必要があります。社内で人員をかき集めるのは大変ですし、人件費もかなり掛かるのがネックです。
また「社外の企業の力を借りよう」と思ってスクラッチ開発を外注すると、数百万といった高額なコストが発生するケースが多いのもデメリットです。予算に余裕がないとスクラッチ開発は難しいのが現状となります。
一方アプリプラットフォームを駆使した開発の場合、技術水準が高くないリソースでも基本ができていればアプリ開発が可能です。
社内で専門の人員を集めたり社外にわざわざ外注してスクラッチ開発をしてもらう手間がなくなるので、低コストでアプリを提供できるようになります。
簡単でスピーディーにアプリを開発可能
アプリプラットフォームの持ち味は「ノーコード(NoCode)」によるアプリ開発が可能な点です。ノーコード開発はノンプログラマーやノンエンジニアでもサービスを開発できる手法として、「Google」といった巨大企業も注目しており市場に算入しています。
アプリプラットフォーム上では、クリックやドラッグ&ドロップなどで簡単にデザインや機能を追加可能です。パソコンやスマホを普段使っている方ならばすぐに使いこなせるようになります。またテンプレート活用により初期のデザイン制作に時間を掛けずに済むようになるのもメリットです。
スクラッチ開発では1からプログラミングを行ってデザインや機能を搭載する関係上、どうしても開発ハードルが高くなりますし開発に時間が掛かります。開発時間が経過し過ぎるとアプリが陳腐化して使えないといった事態も起こってしまうかもしれません。
しかしアプリプラットフォームを活用すれば開発ハードルは低くなり短期にアプリを開発できるようになります。
市場の流動性に素早く対応しやすいのはアプリプラットフォームのほうです。
カスタマイズ性も高い
アプリプラットフォームは簡単にアプリを制作できるだけでなく、簡単にカスタマイズができるのも特徴です。
- デジタル会員証の提示
- プッシュ通知によるクーポン、最新情報の発信
- ECサイトとの連携
といったさまざまな機能を店舗の必要性に合わせて追加できるようになっています。
アプリ1つでユーザーが会員証提示や情報の受け取り、ECサイトでのお買い物などいろいろなことができるようになれば、店舗側の「DX(デジタルトランスフォーメーション)」にもつなげやすくなります。
実際アプリを活用してDXを実現しようとしている店舗も多いので、気になる場合は自分で最新の事例をチェックしてみましょう。
マルチプラットフォームに対応しやすい
アプリプラットフォームを使うと、マルチプラットフォームに対応しやすくなります。
アプリを提供する際は、
- Android
- iOS
提供先でメインとなる2つのアプリストアに最適化したアプリを開発する必要があります。しかしアプリプラットフォームを使えば、両ストアに簡単に対応したアプリを開発して提供できるようになるのがメリットです。
またサービスによっては「PWA(次世代のWebアプリ)」の開発などを並行で行えるパターンもあります。
「マルチプラットフォームにコンテンツを展開して集客したい」という方におすすめです。
【アプリプラットフォームのデメリット】
アプリプラットフォームのデメリットは次の通りです。
自由度はスクラッチ開発と比較して低い
アプリプラットフォームでは決められたメニューから要素を選び、アプリを開発していくスタイルになります。ですから自由度はアプリプラットフォーム提供先が提供している内容に依存してしまうのがネックです。
アプリプラットフォームごとに提供している機能は異なります。事前に自社の業種に合ったプラットフォームか、そして搭載したい機能が簡単に実装できるようになっているかなどを確認した上で導入する必要があるでしょう。
自社の開発規模などに対応したプランを選ぶ必要がある
アプリプラットフォームを使う場合、月額などで継続的にコストが発生します。
このため自社の開発規模などに対応したプランを選んで適切にコストを管理する必要がある点に注意です。
- 初期費用や月額費用はどれくらい発生するのか
- 電話やメールサポートなども受けられるか
- 1アプリを構築するごとなどにどのくらいコストが発生するか
といった観点から適切なプランを選んで導入を開始しましょう。
ちなみに企業によってはコロナ応援キャンペーンといった料金が割引になるキャンペーンも行っています。割引制度もうまく活用しながら適切にコストを削減してみてください。
アプリ開発(スクラッチ開発)のメリット・デメリット
スクラッチ開発とは、1からプログラミングコードを打ってアプリを開発していく手法です。プログラミングコードを打たずにアプリを開発できるノーコード手法とは対極にある存在であり、昔はスクラッチ開発でアプリを開発する必要がありました。
スクラッチ開発では自社の希望に細かく対応したアプリを制作できるのがポイントです。
【アプリ開発(スクラッチ開発)のメリット】
スクラッチ開発には次のようなメリットがあります。
自由度の高いアプリ開発が可能
フルスクラッチではデザインの設計から機能の定義、そしてプログラミングへの落とし込みなど各工程をすべて1から行います。その分自社が思い描くようにアプリを開発できるのがメリットです。
アプリプラットフォームを使う場合、自社が思い描いた通りにアプリを開発するのが難しい場面も多いです。「この機能やデザインを追加したいけど、プラットフォームが対応していないから追加できない」といった場面に遭遇してあきらめるパターンもあるでしょう。
しかしスクラッチ開発であれば搭載したい機能やデザインに妥協せず、徹底的に自社のイメージ通りにアプリを作りこんで提供可能です。
アイデアと技術があれば新しいビジネスモデルのアプリを提供可能
フルスクラッチが向いているのは、「自社で出てきたアイデアをアプリプラットフォーム開発では実現できない場合」です。
アプリプラットフォームは、アプリの機能として当たり前になっている機能やデザインを簡単に実装して開発コストや時間を短縮できる部分にメリットがあります。しかし仮に自社のアプリ開発アイデアの大半が画期的なものであり当たり前になっている機能やデザインを破壊する(ディスラプションする)レベルであれば、プラットフォームを用いての開発は足かせになってきます。
もしアイデアとそれを実現できる高い技術があれば、「映像はレンタルビデオ店でCDやDVDを借りる形態から、ディスクリプションでオンラインから楽しむスタイルに変化した」というように市場の大きな変革を発生させて自社がシェアを獲得できるチャンスが回ってくるでしょう。
業務上オリジナリティ、あるいは特殊性の高い企業ではフルスクラッチ開発が適しているケースも多いです。
【アプリ開発(スクラッチ開発)のデメリット】
スクラッチ開発には次のようなデメリットもあります。
とにかく開発コストが高い
スクラッチ開発においては、
- Swift
- Kotlin
- Java
といった各種アプリに使うプログラミングコードを扱えるリソースの用意が必要です。自社にいない場合は別途採用する必要があります。また外注する場合もシステム開発を1から行う必要があるので安くは開発できません。
アプリの機能やデザイン性などの条件によっては数百万といった多額のコストが発生する可能性があります。
スクラッチ開発において費用を抑えたい場合は、「ローコード(LowCode)」のサービスを利用するとよいでしょう。ローコードを使えばノーコードのように直感的にアプリを開発しながら、必要な部分はスクラッチで開発できるようになります。自由度は犠牲になりますがコスト削減はしやすくなります。
開発や改修のスピードが遅くなりがち
スクラッチ開発では自社オリジナルのプログラミングを行います。
つまりアプリプラットフォームを使う場合と違って中身はオリジナルティのあるものにしやすい分、トラブルが起きた時の原因究明が面倒臭くなる点がネックです。
他社の事例を基にトラブルへ対処しにくいので、原因特定から時間を掛ける必要性も出てきます。
また改修を行いたい際も、プログラミングの中身を考えながら 破錠しないように機能を追加したり除去していったりする必要があるので手間が掛かります。技術に関するスキルがないとメンテナンスが難しいのはスクラッチ開発の大きなデメリットです。
市場の流動性が高くなっている今、開発スピードや改修などで手間取っていると他社に追いつかれてアプリ内容が陳腐化してしまう危険も出てきます。スピーディーに対応できるアプリ開発環境を用意できる余裕のある企業でないと、スクラッチ開発は厳しいです。
徹底比較!どちらがクライアント(企業・店舗)にとってよい方法なのか?
ここからはアプリプラットフォームでの開発とスクラッチ開発、双方を直接に各項目から比較していきます。
コスト面
アプリを開発する際は
- 初期の導入費用
- 月額の費用
- その他販促費用など
が発生します。
初期の導入費用については、アプリプラットフォームの場合無料になっているケースも多いです。
導入費用が気になる場合は、なぜ費用が掛かるのかまで明朗に説明してくれているところを選ぶと信頼性が高いです。
またスクラッチ開発を外注する場合は、
- デザイン制作期間
- アプリの開発期間
- サーバーの開発期間
といった期間にデザイナーやエンジニアなどスタッフの人件費を掛け合わせたものが費用として発生します。
レンタルサーバー代といった月額費用を払う必要もあるので注意しましょう。
販促費用に関してはアプリの開発手法に関係なく、適したサービス上でターゲットユーザーにアプリの売り込みをしていけるように金額を判断する必要があります。店舗上での声掛けなども組み合わせてインストールしてくれる人や使ってくれる人を増やしていきましょう。
導入面
導入面で説明すると、アプリプラットフォームの場合、
- 企画
- デザイン制作
- 開発
- ストア申請
といったプロセスが発生します。
早い場合は1か月もせずに提供をスタートできるケースもあります。
一方スクラッチ開発の場合も同じようなプロセスが発生しますが、各プロセスに膨大な時間が発生するのがポイントです。
遅いと2年や3年など市場が変化してしまうのに十分な時間が流れてしまう可能性がある点に注意する必要があります。
運用・社内リソース面
アプリプラットフォームの場合、構築やメンテナンスなどが簡単なので小規模人数でも運用が可能です。「社内にプログラミングやサーバーに明るい人材がいない」という場合はアプリプラットフォームが有効な選択肢になります。
一方スクラッチ開発の場合、構築やメンテナンスなどが難しいのである程度の技術を持ったリソースを用意する必要があります。自社で開発を行う場合は「これからアプリ開発業務も視野に入れてビジネスを行っていく」といった意気込みがないと厳しいでしょう。
まとめ
今回はアプリプラットフォーム上での開発とスクラッチ開発、双方のメリットやデメリットを比較してきました。
どちらにもメリット・デメリットはありますが、やはり中小企業としてはコストも安くアイデアを初心者でも形にしやすいアプリプラットフォームの活用が適しているでしょう。開発スピードも速いのですぐ新しいアプリビジネスを開始できます。
アプリ導入をする上ではどちらの開発手法が望ましいかメリットやデメリットを検討して、適切な手法で開発を進めていきましょう。
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